「あ、枢」


同じタイミングで家から出てきた要は、右手にリードを持っていた。


「もしかしてポチャの散歩?」

「まあな。チィはデートか?」

と、小屋の外に出て嬉しそうに尻尾を振るポチャの首輪にリードを付ける。


「相手はこの前のやつ?」

「うん、まあ」


枢とは腐れ縁だし、別に隠すことでもない。

隠したっていつかはバレるだろうし……。


「ただの友達じゃなかったのかよ?」

「あの時は友達だったよ、本当に」


まさか好きになるなんて思ってもいなかったから嘘じゃない。


「今度は大丈夫なんだろうな?」

「え?」

「だから、今度は傷つかずに済むのか?!」


リードを引っ張ってポチャを門の外に連れ出すと、枢は心配そうに聞いてきた。


「そんなの聞かれても分かるわけないじゃん。最初からわかってたら、これまでだって失敗しなかったもん」

「まあ、そうだけど。チィは男見る目ねぇからまた傷つくんじゃねーかって心配してんだよ、俺は」


失敗するたびに枢には心配ばかりかけてきたし、一番近くで見てきたからこそ、こうして気にかけてくれてるんだろう。