「それ、俺にまたくれんの?」


ずっと手に握りしめたままのペンダントを見つめる環。


「う、うん……」

「じゃあ、これと交換な」


環は身に着けていたネックレスを外すと、それを私の首に付けた。


「離れていてもずっと傍に感じられるように、だっけ?」


環は私が忘れてしまったことを全部事細かに覚えているんだね。


「あの時、千咲が言ったのは本当だった。離れてもずっと、俺には千咲だけだったから」


ストレートな言葉に、胸の高鳴りはより高まる。

唯くんは“兄貴は不器用だから”なんて言っていたけど、本当はそうじゃないみたい。


「子供ながらにずっと千咲のことだけ想ってた」

「……っ」

「俺の初恋。ずっと想い続けてて良かった」


そう言って、環は少しだけ嬉しそうにはにかんだ。