「――――ねえ」


約束の10分が経ち、言われた通り声を掛けるも起きる気配がない。

そっと寝顔を覗き見してみると、あまりの綺麗な寝顔に見惚れてしまった。


――って、そうじゃない!


「起きろーっ!」


肩を揺さぶると、篠宮くんはゆっくりと瞼を持ち上げた。


「……あ、やっべ……仮眠のつもりが超爆睡!」


そう言って頭を起こす。


「ヨダレ垂らしながら気持ちよさそうに寝てたよ」

「ゲッ、マジ?」


篠宮くんは“はあ”とため息吐く。


「嘘だよ、嘘。ヨダレまでは垂らしてなかったから。そんなに落ち込まなくてもいいじゃん」


そう言って笑うと


「……何だ、可愛いじゃん」

私の顔を見ながら篠宮くんがボソッと言った。