「これからもずっと、一緒に居たいんだけど。出来れば勉強抜きで」


スカートに忍ばせておいたペンダントを取り出し、それを篠宮くんに差し出した。


これが精いっぱいの告白。


“好き”とかいざとなると口には出来なくて。


遠回しの言葉しか言えなかった。


「それはつまり、俺のことが好きってこと?」


コクン、と頷くことでそうだと伝える。


「俺らが初めて喋ったあの日――…俺が生徒手帳を拾った日のことだけど、本当は学校で拾ったんじゃないんだよね」

「へっ?」

「本当は3日前ぐらいに駅で拾ったんだ。追いかければすぐに済んだんだけど、でもそうしなかった。何故だかわかる?」


篠宮くんは持っていたプリントを机の上に置く。


「高城さんと少しでも多く、繋がりを持ちたかったからだよ」


そう言ってフッと笑った。


「え……それって……」

「勉強を見るって言ったのも、俺が高城さんと長く一緒に居たかったから。条件を付けたのはただ単にやる気をアップさせるためだけに過ぎない。初めから70点取れなくても言うつもりはなかった。それと――…」


途中まで言いかけて、掛けていたメガネをそっと外す。

メガネの縁で隠れていた綺麗な瞳が、真っ直ぐに私を捕える。