「そんな条件、最初っから俺には意味なんてなかったよ」

「え?意味なかったって……」

「――ねえ、テストが終わってから俺に伝えたいことがあるって言ってたけど、何?」


篠宮くんは話を逸らし、側の机の上に寄りかかった。


「話を逸らさないで!意味なかったなら、どうして条件なんてつけたの?!」

「――条件、条件って言うなら、70点以上取れなかったペナルティ、与えるよ?」

「……っ、」


出来ることなら、ペナルティなんて受けたくない。


私はギュッと拳を握りしめ、ゆっくりと口を開いた。


「最初は勉強なんて大嫌いだった。教科書見てるだけで頭痛くなったり眠くなるだけで、全然楽しくなかったし……。でも、あんたが勉強を見てるくれるようになってから、勉強も捨てたもんじゃないなって思うようになったよ」


篠宮くんは相槌を打ちながら、私の言葉を聞く。


「だから、ありがとう。 ……それから、」


小さく息を吸って、それから吐いて。