――そして、迎えた運命の朝。


「この間のテスト返すぞー」


テストが終わった翌日から、早速返却が始まった。

化学教科担当の杉村先生が、一人ずつ出席番号順に名前を呼んでいく。

返された答案用紙を見ながら、喜ぶ生徒もいればショックを受けて沈んだ顔を浮かべる生徒もいる。


自分は、どちらに転ぶんだろうか……。


「高城」


名前を呼ばれて席を立つ。

緊張しながら教壇に向かうと、先生は答案用紙を差し出した。


私がそれを受け取ろうとした時、先生は一度答案用紙を自分の方に引き、徐(おもむろ)に口を開いた。


「お前、随分と今まで勿体ないことをしてきたもんだな」

「……え?どういう意味ですか?」

「1年の時からこの点数だったら、もっと上を狙えたって言ってんだ。ほれ」


先生から受け取ったそれを見ると“87点”という数字が赤く記されていた。


「ええっ!?」


あまりの高得点に、教室にいるにもかかわらず大声を張り上げてしまう。