「強がってないで“怖かった”って素直に言えば?」


私の反応を面白がるように、クスクスと笑った。


「誰が言うか、馬鹿っ!」


――本当にムカつく。

私のこと、何も知らないくせに分かったような態度で喋ったり、勝手に人の心を見透すなんて……


「言っとくけど、そっちが勝手に助けたんだからお礼なんて言わないよ!」


あまりにも悔しいから、“ありがとう”なんて思ってても絶対に言ってやらない。


「ひねくれ者だね、高城さんって」

「ひねくれで結構」

「素直にならないと、一生彼氏出来ないよ」

「余計なお世話。放っておいて」


篠宮くんはフッと笑いながら

「うん。じゃあ、放っておく」

と言って背もたれに寄り掛かった。