「あのねえ……、あんな人が多い場所で恥ずかしみもなくあんなこと叫ばないでくれる?いくら私を助ける為とはいえ、もっと他に方法なかったわけ?」

「だって俺喧嘩強くないし、ああいう場合はアレが一番効率的でなお且つ手っ取り早い方法だと思ったんだよ」


側のベンチに腰掛けると

「まさか本当に叫ぶとは思わなかったでしょ?」

と乾いた声で笑った。


確かにビックリしたけど……。


「そもそも助けてなんて頼んだ覚えないんだけど」

「高城さんは俺に助けを求めたよ。だって目が俺に訴えかけてたもん。“助けて”って。だから俺は迷わず助けただけ」

「……それこそ勘違いだわ」


ああ、素直じゃないな。

助けてもらって、ホッとしてるくせに……


「あなたなんか居なくても、自分で乗り切れた!」

「手を震わせてたくせによく言うよ。走っている間、微かに手が震えてたの気付いてないの?」

「ふ……震えてないし!」


隠すように自分の手を後ろに持っていく。