「花火大会?」

「……友達が彼氏と行くから一緒に行く相手が居ないの。だからっ――…」

「――いいよ、言っても」


篠宮くんは真っ直ぐに何処かを見つめたまま答えた。

彼の視線の先を辿っていくと、電柱に貼られた花火大会のポスター。


「本当にいいの?約束してる人とか……」

「いないよそんなの。 ……ご褒美に連れてってあげるから頑張りなよ」


ニコッと微笑み口元を緩めると、篠宮くんは軽く手を挙げて自分の家の方へと歩いて行った。


「はあっ……緊張したっ」


確実に決まったわけじゃないのに、こんなにもドキドキしてる――…