「はい、入れたよ」

「ありがとう」


登録されたばかりのIDにメッセージを送ると、篠宮くんのスマホが鳴った。


「それ、私の」

「ありがとう。これで高城さんの連絡先も知れたことだし、ちゃんと勉強してるか毎日確認できるってことか」

「えっ」

「冗談だよ」


スマホを閉まって可笑しげに笑った。


「あともう一ついい?」


茶化されたことを若干悔しく思いながら、口を開く。


「今度のテストの件、条件をひとつ新しく加えてほしいんだけど」


私の言葉にキョトンと目を丸める篠宮くん。


「条件って……正気?」


驚くのも無理はないか。

でも今さら素直に言えるはずもなくて……


「私が70点以上取れたら……今度の花火大会に連れてってほしい」


“条件”という形でしか伝えられる術が無かった。