「……あの、さ」


私はスマホを取り出して、メモリー登録画面を開いてそれを彼に向けた。


「ん?何?」

「……ここに登録してほしいんだけど、篠宮環を」


画面だけは見せたまま、顔はそっぽを向けて。


「俺のを?」

「今日みたいなことがまたあるかもしれないでしょ?連絡先が知っていれば待ってることもないわけだしっ」


今の自分の顔は絶対に見たくないなって思った。

きっと尋常じゃない程、顔が真っ赤になっているはずだから。


「うん、分かった。貸して」


篠宮くんはそれを受け取ると、自分の連絡先をゆっくりと入力していった。