「ごめんっ」


隆臣の気持ちに応えられなくて……。

あんなに正面から自分の気持ちをぶつけてくれたのに、本当にごめん。


私の理想のタイプは男らしく“俺について来い!”と身を構えている、まさに隆臣みたいな人なのに。


私が心惹かれたのは、頭がよくて要領はいいクセに肝心なところには不器用で何処か頼りない人……。


――篠宮環だった。


「……ばーか。んな顔すんなっての」


隆臣は歯を見せて笑うと、私の頭を軽く叩いた。


「俺を振ったんだからその気持ち、絶対にアイツに言えよ?言わないでこのままとか、俺が許さねえ」

「隆臣……」

「千咲がアイツと幸せにならなきゃ俺が身を引く意味がなくなる。周りのやつとかそんなもん関係なく、素直に行け」

「……ありがとう、隆臣っ」


その言葉はとても心強く、私の背中を押してくれた。


「俺ら、恋人同士にはなれなかったけど最高の親友に派なれると思う」


それってこれからも変わらずに、居てくれるってこと?


「なあ、千咲」

「ん?」

「俺は千咲に会えて良かったぜ!」


柄にもなく、そんなことを口にした。

そこまで言われるとは思っていなかったから驚いたけど、鼻で笑いながら“私もだよ”と答えた。