「そういうことって何」

「篠宮には小さい頃から想ってる女が居るっつっただろ?」

「ああ、言ったねそんなこと。だからそれがハルちゃんでしょ」


すると隆臣は、間抜けな顔を返してきた。


「間抜けっ面」

「お前が“超”がつくほどの阿保だからだろ」


隆臣は呆れた様子で溜息を漏らすと、サラリと言った。


「この俺にだって一発で分かったっつーのに、当の本人はこれだもんな」

「は?何意味分からないこと言ってんのよ」

「お前さ……、本当に篠宮があの幼なじみのことを好きだと思ったのかよ」

「だって、小さい頃からってことは一番側に居たハルちゃんぐらいじゃない」


――って隆臣と何故こんな話をしているんだろうか。


「はあ……もう一人居るだろうがよ、ここに」


隆臣は目の前のあたしの鼻をギュッと摘まんでそう言った。