「それでね――…」


~~~~♪~~~~


正門の前でしばらく話しこんでいた時、ハルちゃんのバッグに入っていたスマホの着信音が鳴った。


最近の流行の曲のオルゴールバージョンというやつで、その音色は女の子らしさを感じさせた。


私なんか、初期設定のままだ。


「お母さんが早く帰ってきなさいだって」


携帯を開きながらハルちゃんが言う。


「こんな所でずっと立ち話してるのもアレだし、家まで送ってく」

「えー」


まだ帰りたくないのか、名残惜しそうにつまらなそうな顔を浮かべる彼女。


「おばさんからメールが来るってことは、もうすぐおじさん帰って来るってことだろ?」

「うん、そうなんだけどね」

「お前んち、門限あるんだから仕方ねーだろ」

「分かった、帰る」


篠宮くんに丸くおさめられたハルちゃんは、溜息吐きながらスマホを閉まった。