「当たり前のように環がいつも側に居たから、高校生にもなって泣いてばかりだったんだよ」

「泣きながら毎日電話してきて、こっちは大迷惑だったっつーの」

「でも環は心配して長期休暇には会いに来てくれたから、その時は凄く嬉しかったの」


楽しそうに笑う二人。

隆臣の言葉がふと、頭を過(よぎ)る。


“小さい頃からずっと一人の女を思い続けているらしい”


――もしかして……、

篠宮くんの好きな子って――…



「小春」


さっきまでは何とも思わなかったのに、篠宮くんがハルちゃんの名前を呼んだ瞬間。


「……ッ……、」


チクン、と胸に針が刺さったような痛みが走った。