「チィちゃん、チィちゃん」


ハルちゃんはクスッと笑いながら、私の耳元に顔を近づけて

「あんなこと言ってるけど、環はずっとチィちゃんに会いたがってたんだよ」

と、本人に聞えないように小声で言った。


「コソコソ何話してんだよ、小春」

「別に女同士の話だよ?」


そう言って長い髪を掬いあげる。


「そんなことよりお前、ニキビ出来てんぞ」

「えっ、嘘?!」


慌てて手鏡をバッグから取り出したハルちゃんは、自分の顔をチェックする。


「うわー何で?毎日手入れしてるのにー」

「甘いモンばっかり食ってっからだろ?その証拠に顔だって丸くなってきてるし」

と彼女の両頬をサイドに引っ張る篠宮くん。


「二人はずっと一緒だったの?」

「高校受験の時に環は県外の今の高校を受験して、進学と同時に家族と一緒に上京しちゃって、地元には私だけ一人残されたの。で、私は地元の高校に進学したんだけど、親の仕事の転勤で遥々と今年から東京暮らしになったってわけ」

「へえ、そうだったんだ」


何か不思議だ。

東京でまた3人がこうやって揃うなんて……。