「戻ってきて欲しかったんだよ!これでいいんだろ?!」


何かが飛んだように意地になって本音を漏らしたその顔は、今まで見たこともないぐらいに赤かった。


「凄い意外。篠宮くんでもそんな顔するんだ」

「悪いか!」

「……何かやっと本当の篠宮くんが見れた気がする」


嘘を吐いたり誤魔化そうとする時、絶対に目を合わせようとしない彼の癖を分かってしまった。


「何で戻ってきてほしかったの?」

「そこまで話すつもりはない。そっちこそ、何で戻ってきたわけ?」

「確かめたかったことが色々あったから」


色々って言っても、篠宮くんの気持ちと自分の気持ちだけしかないけど。


「何それ、意味分かんないんだけど」

「分からなくていいよ」

「で?確かめられたわけ?」

「まあね……あ!忘れてた」


思い出したように、ポケットから例の物を取り出した。