「……ッ」


さっきと同じ、ミントの香りが鼻を掠める。

見た目からは想像できないその力強さに、思わずドキっとした。


「今ここで大声出したらどうなると思う?」


私を出来るだけ怜二から離し、無表情でそう訊く篠宮くん。


「は?どうせチキンのくせに。やれるもんならや――…」

「女の子が襲われてまーす!」


篠宮くんが大声を出すと、周りの視線が一気に集中した。


「……やっちゃったけど?」


“どうする?”と言わんばかりに、怜二の顔を見る。


「――ッ!覚えてろよっ!」


当然のごとく、怜二は逃げ腰で退いた。