「じゃあ、あのキスの噂は実は嘘でそれを本当のことにする為に、篠宮くんからキスしてきたってこと?!」

「う、うん。嘘みたいに聞えるかもしれないけどこれが事実」

「信じられない……あの篠宮くんが……」


里乃はただただ“意外”というような表情を浮かべる。


「でさ、結局のところ千咲は篠宮くんのことが好きってことよね」

「……は?!何でそうなるのっ」


思わず、声が裏返る。


「篠宮くんの本心が知りたい、なんてどう考えてもそういうことでしょ?好きじゃなかったら、絶対スルーだもん。少なくとも私ならね」


里乃はフッと鼻で笑いながら、私の肩を叩いた。


「大事なところで素直にならなくてどうするの。別に千咲が誰を好きになろうと誰と付き合おうとあたしは応援するよ。だって千咲が幸せなら、私も幸せだもん」


「里乃……」

「それに千咲、気付いてないでしょ?篠宮くんの話をしてる時のあんたの顔、何処か楽しそうなんだよね」

「えっ?!」

「誰かに取られたくないって思ってるのは、本当は千咲なんだと思うけど」


そう、不気味に笑う里乃。


「いいんじゃない?たまには素直になってみるのもさ。篠宮くんなら、千咲自身がまだ知らない部分をきっと引き出してくれると思う」

「……っ」


もう、返す言葉が見つからなかった。