「アイツを好きになったって無駄なのに馬鹿じゃねーの?篠宮にはずっと前から好きな女がいるのに」

「……え?」

「小さい頃からずっと一人の女を思い続けているらしい。だから千咲には入る余地なんて何処にもねぇんだよ」


そう意地悪な言葉を吐き捨てると、隆臣はそのまま屋上を後にした。


小さい頃からずっと?


何故だか急に切なくなって。

胸が締め付けられるように痛く、苦しくなる。


「……そっか、好きな人いるんだ」


思いのほかショックを受けている自分が居て。

認めたくないのに認めざる得ない、そんな複雑な感情が芽生えていた。