――次の日の朝。


私は屋上に隆臣を呼び出した。


「何だよ。千咲から誘ってくれるなんて珍しいじゃん」

「うん、話があって」

「何々?まさか告白?……なわけねぇよな、その顔は」


真剣な顔を見て、隆臣はハハッと乾いた笑いを零す。


「……ごめん、隆臣。私、やっぱり篠宮くんに勉強を見てもらうことにする」

「は?何で?」


隆臣は納得いかない様子で目を見開く。


「アイツから千咲の勉強を放棄したんだぜ?それなのにアイツに見てもらいたいわけ?」

「……うん」

「意味わかんねぇ!」


――ガシャン、

激しい音と共に、自分の寄りかかっていたフェンスがはげしく揺れる。


「一番最初に俺が見てやるって言った時もそうだ。何でそこまでアイツにこだわんだよ?」


隆臣があたしを追いかぶさるようにフェンスに指を絡めた。

それでも私は動じることなく、隆臣の顔を見上げた。