「何？何なの？一人で納得してないで教えてよ」

「分からないんですか？原因はその男にあるってこと」


隆臣が原因？

どういうこと？


「兄貴は自分の感情を上手く表現出来ないところがあるって前に言いましたよね？きっと兄貴はその人に嫉妬したんだと思いますよ」

「嫉妬？！」


あまりにも意外な言葉に、思わず声をあげた。


「だから兄貴は思ってもいないことをつい口にしてしまったんだと思う……本当は最後まで自分が勉強を教えるつもりでいたはずだし……」

「嫉妬って……何で？」

「それぐらい聞かなくても分かりますよね？兄貴は千咲さんのことが好きなんですよ」

「――ッ！」

「兄貴が自分で言うようなことだから、俺が言うのもどうかと思ったけど、二人見てるとこっちがイライラする。心当たりが少しでもあると思いますけどね」


唯くんはそう言って公園から立ち去って行った。


“千咲さんのことが好きなんですよ”


唯くんの言葉がループする。


アイツが……？

その場に一人、立ち竦む。