「着いたぞ」


店からバスを乗り継ぐこと約30分。

バスから降りて辿り着いたのは、一軒家が立ち並ぶ住宅街。


隆臣の家は赤い屋根と、最近塗り替えられたばかりであろう白い壁が特徴的だった。


隆臣はインターフォンを押してから門を開けると、私の肩を軽く押して先に中へ入れた。


そして玄関のドアを開けると、何も言わずに靴を脱ぎ捨てた。


きっとさっきのインターフォンが“ただいま”の代わりなんだろう。

静かに玄関のドアを閉め、ジロジロと玄関を見渡した。


少し大きめの靴入れの上にはオシャレな花柄のテーブルクロスが敷かれ、生花の入った花瓶が置いてある。

他にもアンティークな小物がいくつか飾られていて、西洋的な雰囲気を感じた。


「おい何してんだよ、入れって」


リビングから顔を出した隆臣にそう言われ、靴を脱いで玄関に上がった。


「お邪魔します」

と声を掛けてリビングに入ると、


「いらっしゃい」


優しい声と共に綺麗な女の人が台所から出てきた。