「うんめぇな」


学校から少し離れたところにある定食屋。


並盛りのかつ丼を注文した自分とは対照的に、隆臣と先輩は大盛りの焼肉定食を美味しそうに頬張る。


「おばちゃん、おかわり!」

「あんた達は本当によく食うねぇ」


笑いながら定食屋のおばちゃんが言う。


「そりゃあ育ちだかりだしな、俺ら」


あれだけウザったそうにしていた隆臣も、相当お腹が空いていたらしく、あっという間にご飯一杯を食べ終わり、二杯目を注文。


定食屋さんに入ったのは今日が初めてだ。

女同士ではこういう場所にはやって来ないし……


“ご飯とキャベツはおかわり自由”


店内にはそんな手書きの貼り紙が貼られていて、アナログテレビもきちんと設置されている。

店内には私達以外にも、サラリーマンや工事現場のおじちゃんなどお客のほとんどが男性だ。


「千咲、ボーっとしてねえでたくさん食え」

「う、うん」


猫舌のため、出てきたばかりのカツの熱さは尋常じゃない。

それに耐えながら、何とか20分ほどで完食した。