「……何か問題ある?」


何も言えずに硬直する私を見て、篠宮くんが言う。


「大アリよ、大アリ!全教科70点以上取れるわけないじゃない」

「何で?」


何でって……

私の勉強を見てるアンタなら、そんなことを聞かなくても分かるでしょうが!


「せめて一教科とかに……」

「却下」


篠宮くんは即答すると、自分の座っていた席へと戻って行ってしまった。


「何で却下なのよ!」


私の叫び声が図書室に響き渡る。


「一教科だけにすると楽になるじゃん。世の中そんな甘いことだらけじゃないんだよ。 ……言っただろ?俺はスパルタだって」


そう言ってニヤッと笑う。


あり得ん!スパルタというかむしろ“S”だ!

人が困るところを見て面白がってるだけだし!


「俺が出した課題を一通り全部やれば不可能なことじゃないよ。大丈夫、俺は約束ちゃんと守る男だから」

「……っ、分かったわよ!そこまで言うならやってやろうじゃん!」


そう言い残して図書室を後にした。