「えっ、マジで?」

「いや、冗談に冗談で返しただけだから」

と真顔になる。


「んなこと分かってるっつーの!」


私そう言って彼から離れる。


「あのさ、このこと誰にも言わないでくれると嬉しいんだけど」

「このことって高城さんが花好きだってこと?」

「うん。そういう柄じゃないって自分でも分かってるから、周りに知られてバカにされたくないの」


親友の里乃にでさえ、“似合わない”と笑われたことあるし……


「黙っててあげてもいいけど、それじゃあフェアじゃないから俺からも交換条件出させてもらうけどいい?」


何を交換条件にするつもり?


じっと考え込む彼の言葉を待っていると。


「今度のテストで全教科70点以上を取ること」


そんな条件が出された。


「はい?」

「だから全教科70点以上を取ったら、黙っててあげる」


待った、待った!

篠宮くんは簡単に言うけど、私にとってそれは無謀とも言える点数だった。