「君、千咲ちゃんだっけ?」


“帰りたい”と思っていた時、隣りに座っていた男子が私に声を掛けてきた。


「うん……えっと……」


さっき自己紹介を済ませたはずなのに、彼の名前がすぐに出てこない。


「怜二だよ。浮かない顔してどうしたの?」

「別に……」

「今日年上の彼氏に振られたばかりなの!だからだよねー」


ちょっ……

ペラペラとそんなこと、言わないでよ!


勝手に喋った亜里抄を睨む。


「振られちゃったの?何で?千咲ちゃん、こんなに可愛いのに」

「別に可愛くなんか」

「俺だったら絶対大事にするけどな~」

と怜二くんが笑う。