施設を出るのが、今日。

そのために兄が迎えに来てくれたのだ。

「那月ちゃんが居なくなるのは寂しくなるねぇ。ゆっこも他の子達も那月ちゃんに懐いてたからねぇ」

美夜子さんは、私の前に朝ごはんを起きながら眉を下げて言った。

「美夜子さん、そんな事言わないで!行くの寂しくなるよ…」

そう言いながら、手を合わせ「いただきます」と小さく呟く。

綺麗な卵焼きにご飯。そしてお味噌汁。決して豪華な朝ごはんではないけれど、私は美夜子さんが作るご飯がとても好きだった。

それも、今日が最後だ。

食べ終わり食器を運んでいると、後ろから美夜子さんが来た。