訳アリ女子高生


「詩織。今日の夜ご飯は何を食べる?」

「んー。和食!肉じゃがとか食べてみたい!」

笑顔でそう言った詩織に疑問が頭をよぎった。

「ん?和食食べたことないのか?」

「ううん。あるけど、いつも外食で和食って言っても料亭のお料理しか食べたことない。」

「あぁ。料亭と庶民的では味は違うからな。」

「うん!庶民的なのを食べたい!」

「わかった。」

食材を買って、家に帰ると時計は5時を指していた。

まだ5時か。水神の倉庫に行くか。

「詩織、ちょっと水神の倉庫に行こうと思うんだが、来るか?」

「え?行っていいの?」

「あぁ、いいぞ。だが、私のことは話すなよ。」

「うん!もちろん、当たり前でしょ!」

私は変装の準備を済ませ、水神の倉庫に向かった。

向かっている途中で詩織が気になっていたのか、聞いてきた。

「ね、ねぇ。玲菜ちゃんってどうして変装してるの?」

「んー?鬼ってバレないためだ。あの髪色は暗黙のルールで鬼しかやってはいけないことになってるからな。」

「そうなんだ。玲菜ちゃんは大変だね!」

「そうでもない。詩織、水神の前では私のことを怜奈と呼べ。」

「?うん。分かった。怜奈ちゃんだね」

「あぁ。着いたぞ。」

水神の倉庫の前に着き、詩織の第一声は…。

「うわぁ!すごい大きい。暴走族の倉庫ってもっと汚いのかと思った。」

「あはは、それは偏見だな。入るぞ。」

「うん!」

中に入ると、下っ端の人たちが挨拶をしてくる。
私は頭を下げているが、詩織はまだ暴走族が怖いのか私の手に掴まって離れない。

奥に行き、階段をのぼり扉を開けた。

「来ましたよ。」

怖いのか、詩織は黙ったまま私の手に掴まっている。

「わぁ!怜奈ちゃん!今日、迎えに教室まで迎えに行ったのに休みってどういうこ…と…。って、後ろのかわいい子誰?!」

美希は興奮気味に私に怒っているけど、私の後ろを見て大声を出した。

「し、詩織です。よろしくお願いします。」

私の後ろに隠れながら挨拶をした。

「私は、桐本美希!美希って呼んで!詩織ちゃん!」

「は、はい!美希ちゃん。」

美希に警戒心を解いたみたいだ。

「美希。葵衣とお話したいことがあるので、詩織をお願いしてもよろしいですか。」

「うん!詩織ちゃん。話そう!」

「は、はい!」

詩織が美希といるのを確認してから葵衣のそばに行き耳打ちをした。

『話したいことがある』

「わかった。総長室に来て。」

葵衣の後ろをついていき、総長室に入った。

何もないとは思うが、一応すぐに逃げられるように扉にもたれかかった。

「話って何ー?」

「お願いがあるの。姫じゃなくてもいい、詩織を守ってほしい。
私のいない間だけでいい。お願い!」

「どうして?怜奈ちゃんが守ればー?」

「これから、私は忙しくなる。詩織だけは一人にしたくないの。
お願い!」

「じゃあ、この質問に答えてくれたらいいよ。」

「わかった。」

「本名は?」

答えたくない。でも、詩織のためなら…。

「ッ!ま、松本玲菜」

「へー!かわいいねー。じゃあ、契約成立ねー。」

「ありがとう。詩織を頼む。」

それだけを言い、部屋を出て幹部室に戻った。

そしたら、満面の笑みを浮かべて詩織が美希と話していた。
なんか、寂しいような嬉しいような。複雑な気持ちだ。

「詩織。帰るぞ」

その声に気づいた詩織は私に抱き着いて、元気に『うん!』と言って美希にバイバイ!と言って私の後を歩いた。


葵衣に本名を教えたが、いくら調べても重要なことは出てこない。
厳重にロックをかけているから…。