ゆりの妹達は私たちと年が離れている。
まだ小さい。ゆりの両親は海外だ。
それに、私にとって家族同然だから。
どうしても助けたかった。
2人はちゃんと逃げていた。
部屋のある階から2つ下。
あとすこしで外に出れるところ。
間に合った。
私の顔を見て、安心してくれた。
それだけで満足で、2人を抱きしめた。
「向こうにお姉ちゃんいるからね。
あと少し頑張ろう。」
背中をぽんっと軽く押すと、
2人はコクン、と頷いて走り出した。
頑張ったんだ。ずっと、ずっと、走って。
気づいたら2人は消防の人に抱かれていた。
“ もう2人は大丈夫だよ。って伝えなきゃ ”
そう思うのに、ゆりのところに、
彼のところに行きたいのに…。
前が見えなくなってきて
だんだん立ってられなくなって。
「大丈夫ですか!?」
その声が遠くの方で響いた。