ゆりは出かけていたらしく、荷物を持って上に続く階段の方でしゃがみこんでいた。

「ちな、私… 」

残ってる僅かな力を振り絞るように、
ゆりは私の腕を掴んだ。
それだけで言いたいことはわかった。

「大丈夫。みんな助けるよ。」

ゆりを連れて、外に出た。
どこも騒がしく慌ただしい。
どうしよう、早くしないと。

そんな時に来てくれた彼は…。

「千夏!ゆり!」

やっぱり私のヒーローだ。

彼にゆりを預けて、私は走った。
後ろで私を呼ぶ声がしたけど、
ゆりの、妹や弟を助けるために。
自分が死ぬかもしれないとか
そんなのは頭になかった。