僕の事を濡れないようにしてくれながら家まで歩いてくれた。



そして僕達がついた家は一軒家で茶色い屋根の家。



家の中に入ると凄く静かだった。



「今日からここが君の家だよ。とりあえずシャワー行こうね。」



そう言って僕の事をパーカーから出して手桶みたいなのに入れる。



すると突然シャワーでお湯を入れられる。



僕は条件反射でつい跳ねてしまう。



「大丈夫。すぐ終わるからね。」



そう言ってシャワーを止める。



ちょうど僕の膝ぐらいのお湯は湯気をたてていた。



すると僕の体を石鹸で洗ってくれる。



洗い終わるとすぐに流してくれる。



僕は体をふるふるさせて水を飛ばす。



「ちょっとまってね。すぐ乾かしてあげるから。」



そう言って僕にタオルを被せて不思議な機械を僕に向ける。



するとそこからあったかい風が吹いてくる。



「熱くないかな。あつかったら僕の事噛んでもいいからおしえてね。」



そう言ってくれた。



まだ警戒してると思ってるのかな。



僕はここまで優しい人間に会った事がない。



乾かしてる途中に部屋をみまわしているとたくさんの手毬があった。



赤や青や黄色。



薄い紫もあれば濃い紫もある。



見てるだけでも楽しめるような手毬の数があった。



すると風はやんで僕の毛はすっかり乾いた。



「手毬で遊びたかったんだろう?君でも遊べるような手毬を持ってきてあげるよ。」



「こっちにおいで」といってリビングに向かう。



すると僕をソファの上に乗せて「待っててね。」といった。



階段を登る音が聞こえる。



僕はついソファの端っこにあるクッションの裏に入り込んで丸まった。



少し恐怖心はあった。



すると階段を降りてくる音が聞こえてくる。



「ほら手毬…あれ。居ない。」



そんな声が聞こえる。



でも僕はそのままクッションの裏で丸まっとく。



「…突然だとそうなるよね。場所はわかってるよ。出ておいで。」



そう言って隠れていたクッションを取ってしまう。



「ほら。持ってきたよ。これで遊んでいいからね。」



そう言って五六個ある小さな手毬を置いてくれた。



その色は黒や白、緑にピンクと鮮やかな色が転がっていた。



すると彼は僕の方に手毬を転がしてくる。



つい手でバシッと跳ね返す。



「君は手毬が好きなんだね。コロコロしていて可愛いよね。」



そう言って微笑みかける彼に僕はつい手毬を転がす。



「遊んでくれるようになったね。よかった。」



そう言ってどんどん僕に手毬を転がしてくる。



「僕は立樹(りつき)だよ。よろしくね。」



そう言って僕の頭を撫でる。



「あ、そう言えば君野良猫だから名前無いよね。いつまでも君じゃ可哀想だ。」



そう言って彼は少し考える。



「…そうだ。君は藍(らん)って名前にしよう。」



そう言って藍くんと呼んでくれる。



「理由は簡単だよ。藍はこの藍手毬を気に入ってくれたみたいだからね。」



そう言って僕が触っていた手毬を取ってコロコロ転がしてくる。



「あ、おなか空いたよね。ちょっとまってて。」



そう言ってツナのカンをあけてお皿に乗っける。



「ごめんね。猫用の餌がないんだ。今外は雷なってるから出られなさそうだしね。」



でも最近何も食べてなかった僕にとってはすごくおおごちそうに見えた。