だいぶ風も冷たくなってきて外の木も紅く色づいてきた頃。



商店街ではよくたくさんのかぼちゃを見るようになった。



お花やさん。八百屋さん。そして優しいおばちゃんがいる橘商店にはたくさんのかぼちゃが並んでた。



手毬も今日午前中売れたのをずっとみてると黒やオレンジの手毬が人気だ。



そういえば立樹は最近よく縫い物をしてる。



黒い布とか青い布とか黄緑の布とかを使って縫ってる。



何があるのか僕は知らないしカレンダーを見ても日付がわからない。



「藍くん。カレンダーなんかみてどうしたんだい?」



「にゃー」と鳴いても立樹に猫語はわからない。



さすがに日付が知りたいって言ってもわからないよね…



「あ、そうだ。藍くん。ちょっとおつかい行ってきてくれるかな。僕今手が離せなくて。」



おつかい…?



僕は首を傾げる。



「おばちゃんのお店にいって来てほしいんだ。近くだから道覚えてるでしょ?」



道は覚えてるけど僕が話してもおばちゃんわかってくれないし…



そんなことを考えていると立樹はグレーに少し黄緑が混ざったお財布を出した。



その中に小さなメモと金色のまるいやつを入れた。



「おばちゃんにこれを渡して。そしたらおばちゃんが渡してくれると思うから。」



そういって僕がくわえられるようにちょっと短めの紐を付けてくれた。



「あ、あとこれつけていって。持ち帰る時に楽になるだろう?」



そういって青い小さなリュックを出した。



僕にはぴったりのサイズでつけると丁度いい。



「これで持って帰ってこれるかな。じゃあお願いするよ。」



そういって頭を撫でてくれる。



「気をつけてね!暗くなる前に帰るんだよ!」



そういって立樹はお店の方にに戻っていった。



僕はお店から外に出て橘商店に向かう。



外の風は冷たくて冬が迫っていることがよくわかった。



僕はゆっくり歩きながらお店に向かう。



最近よく立樹とお店まわってたからか商店街の人達みんなが挨拶してくれたり撫でたりしてくれる。



昔の僕じゃ考えられなかった事だった。



風は冷たくて寒いはずなのに凄く暖かかった。



僕は少しだけ落ち葉で遊んだりしながら向かった。



そしてお店に着く。



いざ着くと緊張するなぁ…いつも立樹が居てくれたから。



僕はおばちゃんに気づいてもらえるように「にゃー!」と大きな声で鳴いた。



「あら?立樹君の所の猫の…たしか藍くんじゃない!逃げ出して来ちゃったのかな?」



逃げ出してないよ!



僕は伝わるように首を横に振る。



「でも藍くん1人…一匹で来るなんてどうしたのかしら?もしかしてネコ缶欲しいの?」



僕はおばちゃんの足元に口にくわえていた財布を置く。