「…………」
「クーデノムが次期王にふさわしいと思う者は挙手してみろ」
王の言葉にざわめきながらも広間の殆どの者が手を上げた。
「これでは断る理由もなかろう」
笑いを堪えたような王の物言いに、諦めの表情を見せたクーデノム。
それを見た王は笑顔で宣言する。
「次期王は、クーデノムに決定する!」
ひときわ大きい歓声が広がる中、一人の従臣が王に疑問を投げかける。
「ところで王のご子息はどこに居られたんですか?」
その問いに一瞬で静まりかえる皆を見て、苦笑を隠せない王だ。
「本当に見つけられなかったようだなぁ……」
説得どころか誰も見つけることが出来なかった事実が意外だというように。
広間を見渡しまだそばにいた一人の青年に目を止める。
「マキセ」
「え!? あ、はい」
突然名前を呼ばれ慌てる彼に、広間全員の視線が集まった。
「私が言った次期王選びでの条件を覚えているか?」
「はい。ご子息を見つけ、説得した者を側近に、と」
「そうだ」
満足そうに微笑んだ王は再び皆に向かって宣言する。
「その条件からして、マキセ、お前に次期王の側近を命じる」
シーンと静まり返った中を王は歩き、側にいた青年の肩に手を置いた。
「正真正銘、私の息子。クーデノムだ」
「……えぇー!?」
一層ざわめきが大きく広間全体に広がった。
「私に似ず、マジメに育っただろ?」
「あなたがいいかげん過ぎるだけです」
王はクーデノムの言葉を首をすくめて聞き流し、怒号のような騒ぎの中、満面の笑みを浮かべる。
「今夜は祝宴だ!」