「俺のこと、好きになってくれた?」



なんてな、と冗談を装う様に先輩はまた笑う、切なそうに。

その表情は、自分の胸を締め付けるようだった。

そうだ、最初にご飯に連れていってもらった時にも、自分は優柔不断だった。

だから、先輩にもあやふやな想いを指せてしまたんだ。

自分がはっきり言葉にできないのが悪い。

確かに、角野先輩にときめくことはいくらでもあったけど…でも。



「すいません。角野先輩に対しての気持ちにちゃんと収まれないのは、昔の人が忘れられないからだと思うんです」



せっかく行為を向けてもらっても、おこがましいことに、素直になることができない。

人によっては、気味が悪く感じてしまうこともあった。

後半は、水川が関係してくるかもしれないが。

ほとんどは、あの人が絡むことが多い。

それが今、ある事実だった。



「忘れられやんて、元彼?」