──これらのことから言えるのは、常に地域密着型、地域と寄り添い合う職であるということです。是非一度、視野に入れて、考えてみてください。お待ちしております。
簡単ではありますが、以上が我が社の概要でございます。ご清聴、ありがとうございました」
自分は本番さながらに深々と一礼して、20分弱の発表練習を終えた。
角野先輩もパソコンの操作から手を放して、拍手してくださった。
一気に力が抜け、自分はその場にへたり込んだ。
「お疲れさん。ええ感じやったよ。本番はマイクもあるって聞いてるし、大丈夫やろ」
「ありがとうございます…!」
まさかのお褒めの言葉をいただけた。
あまりにも嬉しくて、垂らしていた頭を俊敏に上げる。
先輩は、そんな自分を見て、ははっと愉快そうに笑った。
「やっぱ好きやわー」
どんな意味合いで言っているのか。
何であろうと、ドキドキして仕様がない。
顔が、異常な程に熱くなる。
すると、先輩の表情はさっきまでの愉快そうな笑みから、今は柔らかくなのか、そして切なくなのか、曖昧な微笑みを浮かべていた。
「あれから俺のこと、どう?惚れる場面あった?」
あまりにも突然で驚いた。
驚いたけど、あったことはあった。
でも、なぜか自分はそれを素直に言い出せなかった。