言いたいことはこれで伝わったか、とても不安だ。
多分、十分には伝わらなかったはずだ。
なんだか、くだらないことを聞いてもらっただけの罪悪感が残った。
「聞いてくださって、ありがとうございました…」
すいませんでした、と付け足そうとしたとほぼ同時に、角野先輩が何かを言いかけた。
さらに同時に重ねて、店員さんが注文した品を運んできた。
受け取り、店員さんが去るのを見送る。
先輩が食べ始めたのを確認して、自分もおつゆの中に薬味を入れる。
そして、ふと先輩が何かを言いかけたのが気になった。
「そういえば、先輩。何かをおっしゃろうとしていませんでした?」
あ、そうそう、と先輩は茄子の天ぷらに手をつけながら、顔を上げた。