私が周りの人と上手く話せないせいで柏崎先生にも、皆にも苦労をかけてきた。ステージでマイクを握り、演奏が始まれば何ともない事でも日常生活ではそうもいかない。いつも誰かに怯えている。

「等々、千里も卒業か」

柏崎先生の事を考えていると、本人が隣に立っていて少し驚いてしまった。けれど、皆のライブの一体感に引き込まれて驚いた事もすぐに忘れてしまった。

「色々、ありがとうございました」

私は柏崎先生に深々と頭を下げると、柏崎先生は頭の後ろに手を回して照れくさそうに笑った。大人の男性とは思えないその素直な笑顔に何度救われたのだろう。
学校祭の件があってから、義父と兄は柏崎先生のお姉さんの手によって自宅に帰った所を逮捕された。母はその事実に落胆し、弟たちと心中しようとした。けれど、体力があった母は弟たちを殺しただけで生き残ってしまっために逮捕。