「結羽・・・くん・・・?」

懐かしい。確かこの時、父が言ったんだよね。娘をよろしくって。心の中に引っ掛かっていた何かがやっとほどけた気がして、すっと軽くなった。
柏崎先生が私の近くでずっと支えてくれていたのは父との約束を守るためだったんだ。私を好いてくれていたからじゃないんだ。
何となく。私の事を好いてくれているのかもなんて思っていなかったけれど、厳しい現実を叩き付けられて胸が痛かった。分かってはいたけれど、私の片思いだったんだ。

「それの裏、見てみろよ」

先生の言われた通り、写真を裏返しにしてみるとどこかで見たような文字でこう書かれていた。

“結羽くんへ。俺が死んだら娘を頼む。俺が出来なかった分まで幸せにしてやってくれ。”