「奥さん・・・?」

柏崎先生は少し驚いたように私を見ると左手を顎に当てて考え事を始めた。なんで奥さんがいるのに考える必要があるんだろう。あんな美人な奥さんに失礼だよ。

「あー、ちげーよ。あの看護師は俺の姉貴。ほら、前話したろ。弁護士と看護師と警察官の姉がいるって」

看護師さんの事を思い出してくれたみたいで柏崎先生は笑い出した。そして、忘れてたろとでも言うような呆れたような笑顔で私に関係を説明してくれたんだ。

「似・・・ない・・・す、ね?」

「よく言われる」

本当に兄弟だったんだ。柏崎先生から笑いが絶えなかった。きっと、私が奥さんがいたと言うのに誘ってくる柏崎先生に優しくしないでと落ち込んでしまった事を悟ったんだ。