「イチャイチャしてなくて良いからあんたたちも高校戻りなさい!・・・やる事、あるんでしょ?私の車、使いなさい」

案外優しい所もあるんだな。そう思いながら投げてきた車の鍵を取る俺がいた。そして、自分の恋が実らないと分かったはずなのにまだ可能性があるんじゃないかと彼女を気にかけている俺もいた。

「頑張りなさい」

すれ違い際、姉が俺の恋と彼女の恐怖に対して言った言葉。全てお見通しだと言うような表情に腹が立ったけれど、俺より色んな人を見ている姉に俺が勝てるわけもなかった。

「ありがとな」

「傷付けんなよ」

そう言って姉と別れたけれど、彼女の表情が晴れる事はなかった。本当にこのまま高校へ戻って良いのだろうか。