画面越しでも伝わる、健の真剣な瞳に何か思う事があったのかもしれない。そう思った時、何となく俺の恋も終わってしまった気がした。

「そんだけ!待ってるかんな!」

終わった動画は彼女を嬉し涙へと導いていた。いや、終わったんじゃない。両手で顔を覆って聞く事しか出来なくなった彼女を見て、俺が強制的に終わらせたんだ。この後、俺に向けて健たちが不平不満を言い散らすから見せたくなかったんだ。

「そういう事だ」

頭を撫でてやりたかったが、せっかく正気を取り戻したのにまた見失ってしまうような気がして触れなかった。だから俺は、頭を撫でようと出しかけた手を引っ込めたんだ。
ただ、そんな俺の行動を見ていたらしい。看護師である姉が扉を開けて中に入ってくると冷やかしながら退院を急かして来たんだ。