きっと家族の事を謝りたいんだ。普通ではない家族の事。変な違和感で気を揉ませて申し訳無いと伝えたいんだ。
倒れてしまいそうなくらい、安心して肩を撫で下ろす祖母。祖母を支える祖父。目を覚ましたのを知ると、今までずっと心配していたような雰囲気を出して千里に近寄ってきた両親と兄弟。その波に跳ねられ、俺は千里のそばから離されてしまった。
まぁ、家族だし俺がそばにいる立場ではない事は分かっていた。ただの先生が片想いの生徒の隣にいて良いはずがない。

「あっ、えとっ、やっ・・・!はな・・・っ!」

父親を怖がっている。兄を拒否っている。触れられる事を嫌がっている。すべての状況を理解できた俺は自分の姉に目で訴え、家族を外に出してもらった。半ば強引であったが、祖父母、両親、兄弟皆を病室から出させたんだ。姉は病室に入れないように扉の前に立ってくれているのか、扉はカタカタと鳴るだけで開く事はなかった。それどころか、姉の説教が聞こえてきた。