体を揺らしたり、携帯をいじったり。千里がどうでも良いって言うのか。祖父母の方がよっぽど心配しているんじゃないか。
俺の方へ体を向け、横になっている千里は予想していたのだろうか。ぴくりとも動かず周りの様子に聞き耳を立てていた。

「過労です。学校祭の準備、頑張っていましたから。起きたら帰って構いませんよ」

姉もこの家族の違和感を感じ取ったのかもしれない。俺と家族を交互に見合わせて落ち着かない様子だった。
安心している祖父母からは千里への愛が感じられる。でも、母はどうして呼ばれたんだと体を揺らして苛立っている。父や兄は携帯をいじって千里に見向きもしない。弟は状況が今一分かっていないようで首をかしげたり母に訊いたりしていた。

「・・・、・・・」

目を開けた千里と複雑な笑顔を交わした。千里はごめんと謝罪しているような笑顔だった。