彼女がどう思っているのかは分からないけれど、俺はこれで良いと思っている。友に近い存在として彼女の近くで心を支えていく。
恋人同士やそんな噂が立たれてしまえば、俺の教師という仕事が危うくなるし、千里も偏見の眼差しで見られてこの高校に居づらくなる。互いが互いに迷惑をかけてしまうなんて事、俺も千里も望んでいない。だから、だからこそ言い訳して逃れられる距離感で今はいるべきなんだ。
この恋心に決着を付けるのは、彼女が卒業した後。俺の許から離れ、生徒では無くなった頃じゃないとお互いに悲しむ事になる。
俺は愛する者を失って、彼女は頼れる存在を失う。そんなの、互いに望んでいないだろう。
今は苦しむしかないんだ。届きそうで届かない。もどかしい距離感の中で誰を思っているのだろうと焦る自分を抑えていなければいけないんだ。

「家族以外の人に聴かせられる度胸ないです」