いつも甘えさせてくれているんだから、私にも甘えてください。そう言って不満を吐き出してほしい。いつも私がしているみたいに柏崎先生も私を頼って弱音を吐いてほしい。

「曲、何にするかぁ」

体を伸ばしながら、演奏する曲を考える柏崎先生。眉間にシワを寄せて呆れるように考える大人びいた表情が私の顔を赤くさせていた。

「5曲・・・くらいですか?」

赤くなった顔を隠すために柏崎先生から目を逸らして話を進めてみたけれど、感じ悪く思われなかったかな。

「だなぁ。向こうが5、俺たちが5、合わせが2、くらいかー?」

俺たち。柏崎先生の声で言われたからかもしれない。私の胸がキュンッとときめいたのが分かった。