いつも私の不安を察して心配してくれる柏崎先生には本当に感謝している。察してくれるだけでもありがたいのに、心配までしてくれるんだもの。感謝してもしきれない。

「恥ずかしいんだけどさ、実は俺も怖いんだ。いつも生徒たちの前に立っているのにって思うだろ?」

いつものように笑ってくれているはずなのに、どこか寂しそうに見えるのはなぜなんだろう。本当に何かを感じて、悲しんでいるのかな。いつもと違う雰囲気で笑う柏崎先生が心の中で引っ掛かった。

「俺さ、高校に入るまでいじめられてたんだ。だから、ステージに立つとか、演奏するとか?注目を浴びるのって苦手なんだよな。未だに思い出して上手く弾けなくなるんだよ」

柏崎先生の伝えたい事が分かった瞬間、耳を塞ぎたくなった。柏崎先生の口からそんな言葉を聞きたくはなかった。