「わっ・・・、真っ暗・・・」

ふっと目線を譜面から窓の外に移すと、月や星が夜空で輝いていた。そして、大きな窓の外には明るい光を求めて虫がガラスに張り付いていた。

「ほんとだ。悪いな、こんな時間まで付き合わせちまって。二人とも心配しているだろ?」

「いえ、家まで来たら車で送ってあげるからちゃんとボーイフレンドに送ってもらいなさいって」

ボーイフレンド。その言葉に異常に反応してしまいそうになった俺は面白い人なんだなと笑って誤魔化そうとした。けれど、そんな心も人知れず。
音楽室から出て、職員室に寄り、玄関を出る。という戸締まりの順を話して音楽室から出ようとした時だった。体を震わせた彼女が中々、音楽室から出ようと1歩踏み出してくれなかったんだ。もちろん、俺は疑問に思ったさ。