柏崎先生を信じてみたい。他の人とは違う柏崎先生に興味を持っているのかもしれない。私は柏崎先生ならと思ってしまっている自分に気が付いた。

「あ、あのっ!島岡先輩っ!」

窓を開けて気持ちいい風に辺りながら柏崎先生を待っていると、津田くんの声が廊下の方から聞こえた。夕日のせいか、それとも息を切らせているせいか。心なしか、津田くんの頬が赤くなっているように見えた。
忘れ物をしたのだろうか。そう思いながら、津田くんの次の言葉を待っていた。けれど、津田くんは私の名前を呼んだかと思うと言葉を詰まらせたまま次の言葉を発さずに黙っていた。
あの、えっとと目を泳がせてもじもじとしている津田くん。身長は高いし、目付きがキツいから見た目は怖く思われがちだけれど悪い子では無い。その事は人をあまり信じたくない私でも分かっていた。ただ、誰も居ない教室で男の子と二人っきりという事実が私の体をまた震え上がらせた。