新しい高校でもそうだった。転入生が珍しいのか、下級生も上級生も昼休みになれば教室の入り口に集まっては騒ぎ、同級生も周りに集まっては仲良くなろうと色んな質問をしてきた。
正直、今の私には耐えられない苦痛だった。漫画で恐怖を感じている時に顔に口だけが描かれているコマがある。本当にそんな感じで皆同じ、私を嘲笑ってまた服を脱がされるのではないか。腰を振られるのではないかという恐怖が込み上げて耳を塞ぐ事しか出来なくなった。
この恐怖は男女を問わない。そんな私を見るに見かねた担任が保健室登校を許可してくれたけれど、女である保健室の先生との二人の時間も恐怖に怯える事しか出来なかった。ちょっとした物音、本のページをめくる音でさえびくつき、震えた。
不登校になりたかった。登校なんてしないで、朝起きたらそのままベッドの中でうずくまって次の朝まで黙って身を潜めていたかった。けれど、恐怖に怯えながらも登校するのは祖父母に心配かけないためだった。不登校になって何があったのかと過去に触れてほしくなかったからだった。